2018/04/09
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ゲームオブスローンズではパッとしないジョン・アリン
ゲームオブスローンズの物語冒頭で死ぬジョン・アリン。
画像引用元:amazonプライムビデオhttps://www.amazon.co.jp/Prime-Video/
ドラマを観ている側からすると、
誰だっけ?
目に石(石の目)の人?
前任の王の手?
くらいのイメージしかないでしょう。実際そこしか映像としての出番はありませんし。
しかし、よく考えてみると、ジョン・アリンはなかなかすごい男です。
ターガリエン王朝転覆・ロバートの反乱の功労者
ゲームオブスローンズ冒頭で、
七王国の王はロバート・バラシオンです。
ロバート・バラシオン王 画像引用元:amazonプライムビデオhttps://www.amazon.co.jp/Prime-Video/
しかし、このロバート・バラシオンは諸名家の1つ、バラシオン家の家長という貴族という高い身分でしたが、王族ではありません。
もともと300年続く七王国の王朝はターガリエン家によるものであり、王都キングズ・ランディングも鉄の玉座(アイアン・スローン)も、ターガリエン家のものです。
それを、ゲームオブスローンズ本編開始の20年ほど前に、ロバート・バラシオンが奪い、王位に就きました。
その一連の顛末をロバートの反乱、またの名を簒奪者の戦争と言います。
ロバートの反乱におけるジョン・アリンの功績
ウェスタロスの地図 ロバートの反乱以前 画像引用元:amazonプライムビデオhttps://www.amazon.co.jp/Prime-Video/
ロバート・バラシオンの軍事的才能は稀有のものでしたが、それだけでは王家を滅ぼすことはできません。
外交で反ターガリエン陣営をまとめる必要がありましたが、ジョン・アリンの存在が大きく生きています。
①ジョン・アリンが王の命に背き、ロバート・バラシオンとエダード・スタークの命を救う
狂王エイリス・ターガリエン2世は、ジョン・アリンに、ロバート・バラシオンとエダード・スタークの首を持ってくるよう命じます。
ロバート・バラシオンとエダード・スタークはアイリー城(高巣城)(地図上の青いハヤブサの紋章)のジョン・アリンに預けられており、その後見のもとで育てられていましたから、ジョン・アリンが二人を殺そうとすれば極めて容易でした。
しかしここで、ジョン・アリンは狂王エイリス・ターガリエン2世の命に背き、ロバート・バラシオンとエダード・スタークの命を助け、二人をそれぞれの本拠地に帰還させます。
最初に狂王エイリス・ターガリエン2世の命に背き、ターガリエン王朝の崩壊に一石を投じたのはジョン・アリンです。
②反ターガリエン陣営を構築し、ロバートの反乱の下地を作る
次にジョン・アリンは、反ターガリエン陣営を構築します。
ウェスタロスの地図 ロバートの反乱以前 画像引用元:amazonプライムビデオhttps://www.amazon.co.jp/Prime-Video/
ジョン・アリンはアリンの谷間(ヴェイル)(地図上の青・ハヤブサの紋章)を支配していますが、先ほど命を救ったストームランドのロバート・バラシオン(地図上の黄色・鹿の紋章)と北部のエダード・スターク(地図上の灰色・狼の紋章)と結びます。
そのうえで、婚姻同盟によりリバーランドのタリー家(地図上の水色・鱒の紋章)を抱き込みます。
この時点で、反乱軍側は9つの諸名家のうち4つを率いることになり、勝算が見えてきます。(王家であるターガリエン家(地図上のオレンジ色・ドラゴンの紋章)側についたのは、河間平野(リーチ)のタイレル家(地図上の緑色・薔薇の紋章)とドーンのマーテル家(地図上の薄橙色・太陽に槍の紋章))
ロバートの反乱での戦いは、ロバート・バラシオンの軍事的才能で優位に進んでいきました。
最終的には中立を保っていた西部のラニスター家(地図上の赤・獅子の紋章)が王都を攻撃し、ターガリエン王朝は崩壊します。
諸名家を反ターガリエン陣営としてまとめ上げたジョン・アリンの功績は多大です。
ロバート・バラシオンを王に推戴したジョン・アリン
さて、狂王エイリス・ターガリエン2世を斃し、ターガリエンの血を引く者たちをほぼ根絶やしにした後、だれを統治者とするかという課題がありました。
ジョン・アリンはここで自分が王位を主張するのではなく、ロバート・バラシオンを王に推戴しました。
諸侯の賛同を得て、ロバート・バラシオンが七王国の王として即位し、バラシオン王朝を開きます。
この時の王を誰にするかは、絶妙な人選と言わざるを得ません。
戦争の英雄、悲劇のヒーローであったロバート・バラシオン以上の適任は居なく、またジョン・アリンにとっても御しやすく、かつ婚約者が居ない(ゆえにラニスター家を取り込める)ことから、ロバート・バラシオンはぴったりでした。
「王の手」として20年近く王政を執るジョン・アリン
その後、ジョン・アリンは王になったロバート・バラシオンによって宰相の地位に当たる「王の手」に任命されます。
うかがい知れる功績だけでも、
ロバートの反乱を終結させ、諸名家にロバート・バラシオンへの忠誠を誓わせた
王都キングズ・ランディングを陥落させ、強力な軍事力と資金力を持つラニスター家を、その娘サーセイ・ラニスターをロバート・バラシオンの后とすることで取り込んだこと。
王家であるターガリエン家に加担したタイレル家、マーテル家にロバート・バラシオンへの忠誠を誓わせたこと。
この2点は特筆すべきです。これがなければロバートの反乱はターガリエン家の滅亡後も、諸名家同士による王位争いが続き、混迷を極めていた可能性があります。
簒奪者であるロバート・バラシオンによる王位を20年近く続けた
ロバート・バラシオン自体は、王家ターガリエン家と縁はなく(バラシオン家は300年ほど前にターガリエン家から分家)、正当な王位継承権はありません。
にもかかわらず、狂王の失政を理由に武力で王位を簒奪しているため、王位の正統性は極めて不安定で、何か失政があれば、ロバートの反乱と同じように、力を持つものが武力により王位を簒奪することは容易に考えられます。
そのような状況にありながら、ロバート・バラシオンの王位を維持し続けた「王の手」としての才能は素晴らしいものがあります。
任命から20年近く失脚・罷免されることなく王の手を務めた
ロバート・バラシオンは王位に就いた後、国政への興味を失い、ほぼすべてを「王の手」ジョン・アリンに丸投げしますが、任命から20年近く罷免されることも無く、失脚することも無く「王の手」を勤め上げたことも有能さを示すポイントです。
狂王エイリス・ターガリエン2世の王の手であったタイウィン・ラニスターは王と諍いを起こし自任しで領地に帰ってしまっていますし、ゲームオブスローンズ劇中の、ジョン・アリン後の王の手たちも短期間で失脚、暗殺の憂き目に遭っています。
以上のことから、ジョン・アリンは宰相「王の手」としても並々ならぬ実力の持ち主であったことがわかります。
【注意】ここから壮大なネタバレ
ここからはゲームオブスローンズのネタバレを含んでいます。
まだ見ていない方はバックしていただくか、シーズン4までゲームオブスローンズを観ていただくことをお勧めします。
バラシオン家の子女の出生の秘密を発見する
ジョン・アリンは「王国を揺るがす秘密」である、ロバート・バラシオン王の子供たちの出生の秘密に気付きます。
これは、ゲームオブスローンズ劇中で、前任の「王の手」ジョン・アリンの行動を調べることによって、エダード・スタークも知ることになっていきますが、裏を返せばジョン・アリンがこの秘密に近づいていなければ、エダード・スタークもこの秘密を知らずに終わり、物語の展開もだいぶ変わったものになっていたでしょう。
ジョン・アリンは”何らかのきっかけ”があって調査を開始し、ロバート・バラシオン王の落とし子たちに会いに行き、諸名家の歴史・功績・人物の特徴が書いてある分厚い書物を調べ、この秘密を知る(もしくはかなり真相に近いところまで行く)に至ります。
ジョン・アリンは最終的にはとある人物により毒殺されてしまいますし、物語冒頭にしか出てこないキャラクターであるため印象が非常に薄いですが、実はかなり有能な男です。
もし毒殺されずにいた場合、どうなっていたか想像してみるのも楽しいキャラクターですね。